★「本の話 絵の話 」

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本へのアプローチの仕方は人それぞれです。
山本容子という人のそれはかなり独特だと思います。
本の表紙や作家を描くことについて下記のような表現がありました。

<私がやりたいのは、先ほども言ったようにアフターマス、つまり余波を描くこと。…あるテーマを描くとしますね。それを描いていると、最初の目的であるテーマとは直接関係のないイメージがふくらんだり、イメージの断片が出現したりします。また前にも言った描いているうちに生じた画面のキズなども含むのですが、そういうものを余波と呼び、余波が自動的に新しいイメージをつくっていくのを大切にしているんです。最初の目的であるテーマを描く事が、ある真実に到達することだと考えれば、私は一直線に至れる真実なんかないと思っているんです。たくさんの、複雑な視点が交錯したところに、一瞬チラリと真実がひらめく、というあり方でしかそれはない。子どものころからそういう風に思っていたのですが。そうした思いが絵を描く方法のなかにも生きているような気がするのです。>

丹念な本の読み込みと作家の描いた土地での調査。
見えない努力と天性の「遊び」の感覚が山本容子という人と本の関係をさらに密なものにしていったのでしょうね。

「本の話 絵の話」
by kamakurasea | 2010-09-28 23:13 |